「謝ってほしいんですか?」謝らない部下・後輩への対処法【元課長の実体験】

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「水曜日のダウンタウン」でのはっしーはっぴーさんの一件は、多くの人にとって「うちの職場にもいる」と感じさせるものでした。実は私自身も、現場で似たようなケースを目の当たりにしたことがあります。

あるとき、部下(Aさん)が、自分がさらに指導していた後輩(Bさん)のミスを見つけました。Aさんは温厚な性格で、普段は感情的になるタイプではありません。ですが、そのBさんに対しては違いました。ミスを指摘しても、「ありがとうございます」の一言もなければ、謝罪もない。何度目かの指摘のあと、さすがにAさんが「何かひと言ないの?」と問い詰めたところ、Bさんから返ってきたのは「謝ってほしいんですか?」という一言だったそうです。

普段は温厚なAさんが、さすがにこのときは声を荒らげたと聞きました。注意しても響かない相手に、毎回エネルギーを使って向き合うのは、正直かなり疲れます。この話を聞いたとき、「謝らない人」というのは、単に謝罪の言葉を口にしないだけでなく、”謝罪という行為そのものを、相手が求めている儀式か何かのように捉えている”のではないか、と感じたのを覚えています。

今回はこの経験も踏まえながら、「謝らない部下・謝らない後輩は職場でどう見られているのか」「そういう相手に、上司はどう向き合えばいいのか」を、元管理職の立場から整理してみます。

結論から言うと、謝らない部下への対応でやることはシンプルです。

  • 変えようとしない(性格を直させようとしない)
  • 謝罪を求めない(求めるほどこじれる)
  • 次の行動だけ求める

この3つが重要です。理由をこれから説明します。

なぜ職場で謝らない人がいるのか

職場に限らず、謝らない人にはいくつかの共通した心理的背景があると言われています。代表的なものを挙げてみます。

  • 自分のミスだと認識できていない――そもそも「問題行動だった」という自覚がない
  • 謝ることを「負け」だと感じている――謝罪=自分の非を認める=評価が下がる、という思い込み
  • 責任の所在をずらす癖がついている――過去の環境で、他責にした方が楽だった経験がある
  • 謝り方そのものを知らない――家庭や過去の職場で、謝罪の作法を教わってこなかった

重要なのは、これは「性格が悪い」という話とイコールではないという点です。本人なりの理屈やクセがあって、そうなっていることがほとんどです。ここを混同すると、上司側の対応もこじれやすくなります。

「謝らない人」の3つのタイプ

現場で見てきた限り、謝らない人はだいたい次の3タイプに分かれます。

①無自覚タイプ

そもそも「これは謝るべき場面だ」という認識がないタイプです。悪気はなく、本当に「何が問題なのか分かっていない」ことが多いです。

②勝手に「謝罪=儀式」だと思ってるタイプ

「謝ってほしいんですか?」のように、謝罪を”相手が求めている儀式”くらいに捉えているタイプです。先ほどのBさんはまさにこれで、謝罪を「自分の非を認める行為」ではなく、「相手を満足させるための作業」として見ている節がありました。この場合、謝らせようとすればするほど、本人の中では「面倒な要求をされている」という認識が強まり、逆効果になりがちです。

③プライドタイプ

謝罪=自分の評価が下がる、という思い込みが強いタイプです。ミスを認めること自体への抵抗感が強く、指摘されると防御的な反論から入ります。

Bさんのケースで厄介だったのは、②のタイプに対してAさんが「謝ってほしい」という感情に寄せた要求をしてしまったことです。結果として、Bさんの中では「謝罪という儀式を要求された」という受け止め方になり、話がかみ合わないまま終わってしまいました。振り返ると、ここは対応の分かれ道だったと思います。

その後どうなったかというと、正直あまり良い方向には転びませんでした。Aさんはそれ以降もBさんに何度か注意はしていましたが、次第に「言うだけ無駄」という空気になり、周囲も同じミスを見て見ぬふりをするようになっていきました。Bさん本人の振る舞いが変わることはなく、結局、Aさんが異動になったタイミングで、その”見て見ぬふり”の連鎖は別の誰かに引き継がれていった形です。

職場で謝らない人がいると、何が起きるか

製造業の現場で20年以上、工程管理・品質管理の責任者としてチームを見てきた経験から言うと、「謝らない人」が職場にいるとき、実際に起きる問題は本人が思っている以上に大きいです。

まず、周囲の信頼が静かに削れていきます。ミス自体は誰にでもあることなので、1回目は大抵許されます。しかし、謝罪や改善の姿勢が見えないまま同じことが繰り返されると、「またか」という空気がチーム全体に広がり、フォローする側の負担が増えていきます。

次に、周囲の「見て見ぬふり」が始まります。注意しても響かない相手に毎回向き合うのは、想像以上に消耗します。結果として、上司や先輩が「言うだけ無駄」と判断し、注意そのものをしなくなる。これは一見、平和に見えますが、実際にはチームの規律が内側から崩れていくサインです。

そして最終的に一番割を食うのは、その人をフォローし続けた周囲のメンバーです。今回の水ダウの企画でも、みなみかわさんが「先輩の辛さ」を漏らす場面がありましたが、あれはまさにこの構図の縮図だったと感じます。

元課長流「謝らない部下」への対処法

感情的に叱っても、この手のタイプにはほとんど響きません。現場で実際に効果があったのは、次のようなアプローチです。

1. 「事実」と「影響」だけを淡々と伝える

「なぜやったのか」を問い詰めても、大抵は言い訳が返ってくるだけです。それよりも「何が起きたか」「それによって誰にどんな影響が出たか」の2点だけを、感情を挟まずに伝えます。反論の余地を減らすのがポイントです。

例:「〇〇の確認が漏れていて、△△さんの作業がその分遅れた。これが事実。」
(「謝って」ではなく、起きたことと影響だけを言い切る)

2. その場で終わらせず、記録に残す

口頭注意だけだと、本人の中で「その場さえやり過ごせば終わり」という認識になりがちです。簡単なメモや共有チャットへの一文でも構わないので、事実を記録に残しておくと、繰り返された際の説得材料になります。

例:「今日〇時、△△の件について本人に事実確認・注意済み」と一行だけでも記録しておく。

3. 「謝る・謝らない」よりも「次にどうするか」に焦点を移す

謝罪そのものを求めても平行線になりやすい相手には、「謝ってほしい」ではなく「次はこうしてほしい」という、行動レベルの要求に切り替えると、話が前に進みやすくなります。

例:「謝罪は求めていない。次から〇〇を確認してから提出して、それだけでいい。」
(②儀式化タイプには、この切り替えが特に効きます)

やりがちなNG対応

Aさんのケースのように、「ひと言ないの?」と感情に訴える聞き方は、②儀式化タイプ・③プライドタイプには逆効果になりやすいです。相手からすると「何を言わせたいのか分からない」状態になり、防御的な返答(今回で言う「謝ってほしいんですか?」)を引き出してしまいます。感情ではなく、事実と次の行動を軸に伝えるほうが、結果的にこじれにくいというのが実感です。

それでも改善しない場合、上司はどうすべきか

ここまでの対応をしても変わらない場合、正直なところ、個人の努力だけで解決するのは難しいケースも多いです。特に、今のようにハラスメントに対する目が厳しい時代では、上司側が強く出ることそのものにリスクが伴います。

そういう状況が続くとき、上司自身が消耗しきってしまう前に、「この関係性・この職場のルールの中で、自分がどこまで責任を負うべきか」を一度整理してみることをおすすめします。すべてを自分の指導力不足として抱え込む必要はありません。

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まとめ

「謝らない部下」「謝らない後輩」への対応は、多くの職場で日常的に起きている悩みです。感情論で解決しようとすると長期化しやすいので、事実ベースで淡々と、かつ記録を残しながら向き合うのが現実的なやり方だと思います。

私も課長時代、「もっと上手く指導できたのではないか」と何度も悩みました。ですが振り返ってみると、変えられる人と、正直なところ変えるのが難しい人がいるのも事実です。だからこそ、上司や先輩が一人で全部を抱え込みすぎないことも、同じくらい大切だと思っています。

それでも変わらない相手や環境は、残念ながら存在します。そのときに大事なのは、自分を責めすぎず、環境そのものを見直す選択肢も持っておくことです。

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